肥満について
肥満は糖尿病、高脂血症、虚血性心疾患、高血圧、高尿酸血症、胆石……など各種の生活習慣病と密接に関係している。「風邪は万病の元」という言葉があるが、まさに現代は「肥満は生活習慣病の元」の時代。この肥満について、日本肥満学会元常務理事の片岡邦三東海大学付属東京病院講師に聞いた。
Q:日本で肥満が問題にされるようになったのはいつごろですか?
A:日本で「肥満」という言葉が登場するのは、平安末期に書かれた「病草子(やまいのそうし)」という書の中で「ひまんの女」と題した一文。高利貸しの女性が美食で太り過ぎて歩けなくなり、介助の人に手をとってもらって歩く姿が描かれています。
また福沢諭吉の「婦人肥満之説」の中でも、「婦人は甘いものを好むが、炭素原は砂糖からでなく肉や魚から取り、十分に運動をすれば、異常に太ることなく丈夫になる」と、説かれています。そういう意味からいうと、かなり昔から肥満という問題はあったようです。
しかし、かつては肥満は裕福な人たちに多かった。それが現在、米国など先進国ではかえって貧しい人に多くなっています。ファーストフードやコンビニの食事には、油を多く使っているものが多いからです。
Q:肥満の定義もなかなか難しいですね?
A:体脂肪が体重に占める割合(体脂肪率)は、男性では15%から18%が正常で25%以上を肥満、女性では20%から25%が正常で30%以上は肥満とされます。この体脂肪率を測定する方法はいろいろあり、簡単な体脂肪計も発売されていますが、確実な方法がないのが問題なのです。
そこで標準体重を決めて、それからどれだけずれているかで、肥満を判定することが行われています。
この標準体重には、ある集団の身長別体重の分布を調べ、その平均値や中央値などから標準体重を決める方法と、身長別に死亡率や罹病率を調べてそれらが最低になる体重を標準体重とする方法があります。
日本では前者の方法として、厚生省が発表した「肥満とやせの判定表」などがあります。また、後者の方法では米国のメトロポリタン生命保険会社が提示した理想体重を松木駿先生が修正した標準体重表などがあります。
ほかに、身長(p)から100を引いた数字を標準体重(s)とするブローカ指数が有名で、日本ではこれに0,9を掛ける、桂の変法を採用しています。
しかし、アメリカが指標としてメトロポリタン生命保険会社の理想体重を使い、ドイツがブローカ指数を、日本が「肥満とやせの判定表」では国際的な比較ができません。このため1973年ごろから、国際間で統一的に肥満を比較する物差しを作ろうという動きが起こりました。
そこで注目されたのが、ボディ・マス・インデックス(BMI)です。これはその人の体重(s)を身長(m)の二乗で割った数字で、これは体脂肪量との相関関係が高いとされています。
そして1990年にWHO(世界保健機関)が、成人の標準のBMIは22が適当と発表しました。日本ではBMIが26,4以上の人を肥満としています。