肥満
Q:BMIが正常だからといって、肥満でないとは言い切れないですね?
A:もちろんからだのフレーム(骨組み)の違いも重要です。BMIはあくまでも身長と体重の関数で、体脂肪率を見ているのではありません。だから、BMIと皮脂厚の両方を計測して、その両者から肥満を決める表も作られています。
また、見た目がやせているからといって、その体脂肪の分布によっては健康上の問題がある「かくれ肥満」があるということです。レスラーのようなからだの人とポコンとおなかが出たあんこ型の人では肥満の意味が違うということです。一般に、上半身肥満の人は下半身肥満の人に比べて病気になる率や死亡率が高いことが分かっています。
Q:太る原因について説明してください
A:まず「食べ過ぎ」です。脳の視床下部には食欲の中枢があり、満腹を感じる満腹中枢のセットポイント(閾値)が高まっていると、食べ過ぎてしまうということです。例えば太って胃袋が大きくなると、たくさん食べないと満腹感が感じられません。また最近では、ストレスによる過食もあります。
次に「食べ方の誤り」。一日3食より、一日2食の方が太ります。それは消化・吸収・同化にはエネルギーが必要で、たんぱく質なら全体の30%、糖質なら6%、脂肪なら4%がそのエネルギーとして消えますが、食事の回数が減ると、このエネルギーが節約されてしまうのです。また夜は食べたものが栄養として消化・吸収されやすい状態になっているので、夜たくさん食べることは太る原因となります。
3つ目は「運動不足」です。一日の歩行数が3,000歩を下回るような人は積極的に運動することを考えるべきでしょう。
それから「遺伝」も関係しています。両親が肥満者の子供の8割が肥満児という調査結果があります。それから最近、体脂肪量をコントロールするレプチンというホルモンや脂肪細胞のエネルギー発散に係わるβ3受容体などの異常が肥満の原因となることが発見され、この面での研究も進んでいます。しかし肥満の原因は、遺伝3割、生活習慣7割といったところでしょう。
Q:欧米人に比べると肥満の人は少ないように思えますが?
A:確かに日本人は世界でも肥満が少ない方です。BMIが30以上の人は日本では男性で2%、女性で3%。一方、アメリカでは男女とも30%です。特に20代、30代の日本の女性の41%が、BMI20未満で、やせています。男性や他の年代の女性の肥満に拍車がかかる一方で、若い女性のやせ傾向にも拍車がかかっています。若い女性の無理なダイエットはつつしんだ方がいいでしょう。
Q:肥満の予防法は?
A:まず、体重に関心を持ち、毎週決まった日に体重を測ることです。1週間に2s増えたら、食べ過ぎです。だから翌週までに元に戻しておくことが必要です。
そして、間食をしないこと。食後には必ず歯を磨くという習慣をつけるといいですね。虫歯や歯周病の予防になるとともに、いちいち歯を磨かなくてはいけないので、間食をしなくなります。
油っこいものをとり過ぎないことも大切です。そしてゆっくりと噛んで食べること。一日20分以上歩くことも必要でしょう。
Q:先生ご自身は?
A:もちろん、これらのことをみんなやってますよ。お酒は飲みますけどね。
実は、私は昭和62年ごろ日本肥満学会の理事となった時に、大学病院のエレベーターの中で同僚から「日本肥満学会というのは、太った医者の集まりですか」とからかわれたことがあります。当時私は身長169pで体重76sでしたからね。それで奮起して、それから毎日1400の食事を続け、2年間で64sまで体重を減らしました。以後、体重はこのままです。だから昔に比べると、胃袋が少し小さくなりましたね。