血尿は血液が混入した尿をいいます。生理的には激しい運動後などにも一過性の血尿が見られることがあります。しかし、血尿は腎および尿路の異常によることが多いと考えられます。
血尿は肉眼的血尿と顕微鏡的血尿に大きく分類されます。通常、尿1リットル中に血液が1〜2ミリリットル以上混じれば肉眼的血尿として観察されます。肉眼的には正常の色調でも、尿沈渣を400倍で検鏡して通常赤血球が3〜5個以上ある場合を顕微鏡的血尿といいます。現在使われている試験紙では赤血球5個以上で潜血陽性となります。肉眼的血尿であれば泌尿器科領域の疾患であることが多く、顕微鏡的血尿では内科的疾患をまず疑います。
肉眼的血尿の出血部位の鑑別にはトンプソン2杯分尿法が有用です。これは排尿時に尿を2杯に分けて採取する簡単な検査で、1杯目に血尿が強い場合は前部尿道、2杯目に強い場合は後部尿道および前立腺からの出血を意味します。膀胱鏡は膀胱からの出血や、左右どちらかの腎・尿路からの出血かを知ることができます。悪性腫瘍に伴い血尿を認めることもあり、尿の細胞診、経静脈的尿路造影、腹部超音波検査などの検査も有用です。ことに、高齢者では、悪性腫瘍の頻度が高くなるため念入りな診察・検査を欠かせません。
検診などで見つかる顕微鏡的血尿には自覚症状や診察の結果に異常がなく、血液検査などにも異常が認められない無症候性血尿が多く認められます。血尿に加えたんぱく尿が存在する例では、慢性腎炎がもっとも疑われます。本邦でもっとも頻度が高い慢性腎炎は免疫グロブリンA腎症と呼ばれる疾患です。これは、当初予後良好な疾患といわれていましたが、最近の研究では腎不全にいたる症例も少なからず存在することがわかってきました。また、早期にきちんとした治療を開始することで進行を抑えることも、可能になりつつあります。このため、慢性腎炎が疑われた場合、確定診断をつけ、治療方針を決定するために腎臓組織のほんの一部を針で採取し、顕微鏡で詳しく調べる腎生検という検査を必要とすることもあります。
血尿はそれだけで生命を左右するものではありませんが、その陰に重大な疾患が隠れていることがあります。血尿が判明した場合、なるべく早期にその原因を調べるべきと考えられます。