誰でも健康で長生きできるとは限りません。残念ながら、高齢になると病気を持つ人が増えています。そこで、「一病息災」つまり、病気とともに生きる健康をテーマにしたリポートを中心に、皆さんとご一緒に”人生80年時代の健康づくり”を考えてみたいと思います。
成人病(生活習慣病)などの病気を持っていても、日常生活の中でうまく病気と付き合って、有意義な生活を送っていくことが大切です。しかし、成人病は、治りにくい病気でもあり、また特効薬はありません。
それは、成人病が老化と密接に関係しているからです。老化現象は人によって個人差はありますが、誰でも年をとれば息切れがしたり、腰や肩が痛くなったりします。また、血圧が高くなったり、尿に糖がでやすくなります。
成人病は長い日常生活の中で少しずつ人の健康を蝕むのが特徴で、別名”習慣病”ともいわれています。ですから、できるだけこの習慣病を防いでいくには、日常生活を見直して、健康によい習慣を身に付けることが非常に大切になってきます。
日頃から健康状態の定期的なチェックに心掛けることが大切です。医師の診察を受け、血圧の測定や、各種の検査を受けたり、あるいはがん検診を受ける機会があれば、すすんで参加していきましょう。たとえ病気が発見されても、軽いうちに治療でき、習慣病という成人病とも仲良く付き合うことができるのです。
さて、皆さんがもし健康チェックで血圧が上がっていたり、尿に糖が発見されたからといって、決して悲観なさる必要はありません。そこで次は、一病息災への新しい時代の健康への取り組み方に、焦点を当ててみましょう。
成人病の代表であるがんは、いうまでもなくある一定の域を越して悪くなると、現在の医学では治りにくいものです。しかし、この恐しいがんにしても、その傾向を部位別の死亡率で見ますと、最近その様相が大分変わってきています。日本人に最も多かった胃がんや子宮がんが減って、逆に肺がん、肝臓がん、乳がんが増えてきています。胃がんや子宮がんが減ったのは集団検診による早期発見や食生活の改善によるものです。このように考えますと、日常生活の見直しによって、がんもある程度予防できるといえます。
次に、がんと並んで重要な成人病は脳卒中や高血圧、心臓病などの循環器系の病気です。事実多くの人々が「血圧が高い」「心電図に異常がある」「動脈硬化が進んでいる」などといわれた経験を持っています。しかし、これらの病気も早めに発見し、早めに治療していけば、治すこともできます。
例えば、「動脈硬化が進んでいる」といわれると、心筋梗塞や脳卒中で今すぐにも命をねらわれると悲観する人がいますが、動脈硬化がひどくなる前の状態で見付け、軽いうちに治療と十分な食事療法などをしていけば、たとえ治らなくても一病息災となってうまく一生を全うすることができるのです。
動脈硬化を進行させる原因としては、高血圧、糖尿病、肥満などが挙げられます。糖尿病も合併症がでる前に見付けて食事療法や運動療法を行いうまく管理していけば、かえって長生きすることも多いのです。それをほうっておくと、重い病気となり、不自由な生活を送らねばなりません。
中年からの糖尿病は親兄弟に糖尿病の人がいると、かかりやすい傾向がありますが、必ず発病するとは限りません。そこには引き金というものがあって、それが発病させるのです。その引き金となるのが、飲みすぎ、食べすぎ、運動不足、ふとりすぎ、それにストレスなどです。
脳卒中も同じように、食生活や生活環境と深い関係があります。山間地や寒冷地で塩辛いものを多く摂取している所などには圧倒的に脳卒中が多くなっています。それに、塩辛いものに合うお酒を飲めば、ますます血圧を上げる結果となります。例えば、以前は秋田県の脳卒中の死亡率は日本一でしたが、県をあげて減塩をはじめとする脳卒中撲滅運動を展開したおかげで、現在では、その順位は大分下がっています。
それでは、一病息災に生きていくにはどうしたらよいか、その生き方のコツについてお話しを進めてまいりましょう。
日本人の平均寿命が延びてきた理由は何なのでしょうか。医学や医療技術が大きく進歩するとともに、私たちの生活環境が急速に改善されたことが挙げられましょう。しかし、忘れてならないことは、私たちの生活習慣も大きく変化したことです。中でも食生活は、栄養のバランスを含めて、戦後著しい改善がもたらされました。
いまの日本人の食生活は、和食に加えて、洋食、中華といったバラエティに富んだ食生活をうまく取り込んでいます。このように偏りのない食事が健康によい結果をもたらしたともいえそうです。
もともと、日本人は外国の文化や風習をたやすく受け入れる民族ですが、この習性が高度成長の波に乗って、ご飯にみそ汁と漬け物といった従来の穀物偏重型がら高たん白質型の食生活へと改善させたわけです。
また、健康情報が豊かになり、例えば、レジャーやスポーツ、教養講座などの活発な活動が取り入れられて生活のリズムを大きく変えたことも、健康にプラスしたといえるでしょう。
このように考えますと、日常の食生活や暮らしのリズムが健康にとっていかに大切かがおわかりでしょう。そこで、一病息災で逞しく生きぬいている人を訪ね、その方の生活体験をリポートすることにします。